登山靴のフィティング
    
登山靴の中敷きを抜いて踵をきちんと合わせながら足を乗せてみると、靴の中で足の先端までどれくらいのスペースがあるのかが一目瞭然です。このスペースを測ってみると25㎜ほどあります。25㎝の実測値の足で、27.5㎝表示の靴を履けばこうなりますね。その場では、楽で何の問題もないように感じますが、靴先までこれだけのスペースがあると、下りでは足が前方へズレやすく、ズレ分の衝撃?が足先に生じます。特にセミワンタッチ以上のアイゼン装着が可能な登山靴は、靴の先端部には硬いガード用の芯が入っているので、衝撃のくり返しによって足の指が痛くなります。爪が真っ黒になってしまう症状がまさにコレですね。
    
こちらは10㎜~位ですね。僕の販売上の経験からは、これくらいのスペースのサイズを選択されてるみなさんの足のストレスは少ないようです。下りでの足のズレ幅も小さいことが当たりの許容域をつくっているのでしょうね。
    
こちらは、僕や、友人のガイドのみなさんの平均的スペースです。下りで足がズレないような歩行技術が身に付くと、靴のサイズはより実測値に近づいていきます。
これが靴の縦寸のフィッテングです。
登山実績が少ないみなさんがこのスペースでフィッテングすると、ズレ幅は小さいのですが、それ以前に指に衝撃を受けてしまって、足先の痛みや、爪が真っ黒になってしまう症状が出やすいでしょうね。

コンサルタント的に相談に来られるみなさんのほとんどが「足と靴が合っていなかったのですかねー」といわれます。ところが、お店で履いた時に違和感のあるような靴を買っていただけるみなさんは存在されてませんね。だとすると、きっと足と靴というより、凹凸の急稜な登山道をそれなりの時間の運動することで、靴の中の足にストレスがあらわれたのでしょう。みなさんからの聞き取りをしながら原因を追求していくと、サイズが適正のみなさんでも、登山道を歩く(下る)動作が適正じゃないみなさんに症状が出てるようです。たかが登山道を登下降するにも、ちゃんとした動作の技術はあるんですよ!