防水スプレー
正確には何と呼んだらいいのでしょうねえ?僕は「撥水スプレー」が正解じゃないかと。理由の細かい能書き解説は省きますが、みなさんこの防水スプレーの投資は惜しみませんねえ。¥1000ちょっとという低?金銭感覚なのでしょうか。やらないよりやったほうがまし!系、その場解決主義からでしょうか?まあ、やらないよりやったほうがまし!なんですけどね。より効果的アドバイスをひとつ!このスプレーの使用目的の主は雨具。雨にうたれ、泥も付いて、「クシャ・クシャ」とパッキングして、ついついそのまま次の山行まで・・・、これじゃかわいそう。帰ったらまず洗濯。それからスプレーですよ!山行前にする行為ではなく、山行後にケアーする行為であることお忘れなく。このスプレー購買層はすべて山行前ですもんね。悲し〜い!
そこで、さらに効果的な方法は、まずは中性洗剤で洗濯。濯ぎ後、右の洗濯式の水溶性撥水剤を、雨具が平らな状態で入る大きさのたらい(バケツでもなんでもいいや)の中にぬるま湯(35〜40℃)を適量入れ、その中にこの溶液を適量入れ、一晩つけておき、濯ぎはせず、そのまま自然乾燥させます。撥水(水をはじく能力)継続性はただスプレーすりより数倍高くなります。商品名はニクワックス、ダイレクト・ウォッシュイン、税込¥1570です。徳用1000mlも発売されています。専用洗剤テック・ウォッシュも税込¥1050も発売されています。

一般的なスプレー

   水溶液

レインウェアー収納
従来レインウェアーは上下セット販売が大半でした。ところが、一昨年から大手メーカーのモンベル社さんが、賛否両論ながらもジャケット・パンツの別々販売となりました。それはそれで僕も賛成派のひとりです。今シーズンはさらにゴアテックスの裏地処理が新たになり、お店にも新製品のレインウェアーが入荷してきています。アピールのひとつに『軽量化』もうたわれていますが(事実です)、さらにコンパクト性を強調したいがために、収納袋も小さく、袋から取り出してみると商品の「シワ」は否定できません。それが機能上、何?というわけではありませんが、僕は、コンパクトになるより「シワ」のないほうが気分がいいなあ〜と思うわけで・・・。だって多少コンパクになろうが、重さは同じですもんね!
 そこで僕達がいつも山に入るときに収納している方法と商品をちょっと紹介してみます。イスカ社さんから発売しているウェザーテック・スタッフバック5L(リットル)にジャケットを平たくたたみ収納します。丸めないので厚みが出ないのと、シワにもなりにくいのがメリットかな?パンツは同じバックの3Lに収納します。ジャケットとパンツは別々収納の方が、どちらかひとつを使い分けたいときに、パックの中から取り出しやすいし、装着も早いかな便利かな?。そして、ザックという容器は入れるものを、丸く、厚みをもった形をつくるより、平たく、薄い形のほうが、有効的に容積を利用できるような気がします。さらに良い点は、収納袋から雨具の出し入れがスムースに行えることです。ピッチリ収納されてれば、出すのは、「よいよい!」入れるのは「つらい!」となりますからねえ。
ついでに保存方法ですが、山行中に使用しても、しなくても、山から帰ったらハンガーに掛けて保存が理想です。ゴアテックスのフィルムの耐久寿命もなるべくシワになっている時間が少ない方が高いような気がします(だからといって、そうしないとフィルムが剥離するようなことはありませんが)。

 個人装備をコンビ二等の袋に詰めて、共同生活を営む山小屋内で「ガサガサ」気になる音を立てるのもマナー的にどうかと?思います。10リットルクラスの大きなスタッフバックにまとめて入れるのもコンパクト性に欠けますし、いざ取り出しにも手間がかかります。その点、この5リットル・3リットルスタッフバックは、レインウェアーばかりでなく、必要個人装備等も防水性もさりとてコンパクトにまとまります。

イスカ社のウェザーテック・スタッフバック5L。防水フィルム3層ですから、装備の出し入れもスムーズです。2層は滑りが悪くて・・・・。

モンベル社のストームクルーザージャケットL寸の商品

入れ替えたスタイル

2007年10月3日(水)
秋山フィールドテスト
今回の穂高連峰は秋といえども入山日・中日は快晴で、秋というより残暑ある晩夏でしたのでテストになりませんでした。2日間まったく夏シャツです。但し、下山日の穂高岳山荘から奥穂高岳〜前穂高岳、ジャンダルム〜天狗沢の稜線はガス(視界5〜7m)、風速15〜20m、気温7℃と厳しい条件でした。夏シャツから秋シャツに変え(今回もパタゴニア社・R1フラッシュプルオーバー)、雨ではないので、ソフト・シェルジャケット(今回はパタゴニア社のレディミックスジャケット)を着て風・ガス対策しました。手袋はメトリウス社のビレイグローブ(一般的皮のシングルグローブ)です。ロープを持って確保しなければならない行為には必着ですが、鎖やハシゴ、自然物へのハンドホールドには滑らなくグリップがいいので、降雨時ではない穂高連峰のような岩稜帯にはおすすめです。中々、見た目には大袈裟そうで敬遠され気味ですが、役立ちます。帽子はヘルメットを着用していたので、かぶりませんでしたが、つばの付いた夏用日除け帽では、風に負けてしまい役立ちません(帽子の飛び止めクリップは帽子が飛んでなくならないためには役立ちますが、結局、帽子が頭に存在できません)。頭にフィットしたウールやポリエステル系のニット帽をお忘れなく!

2007年9月6日(木)
秋山フィールドテスト 服装編
山は下界と違って寒くなりました。特に陽が差してない日は顕著です。
毎年9月末から10月初旬にかけて社員研修を行っています。昨年は、涸沢から北穂高岳から槍が岳まで岩稜帯縦走をしてきました。僕と桜井は庭先(出かけている頻度ですよ、なめてるわけではありません)ですが伊藤君は「穂高」に勤務して10年を越えましたが、店の名前の由来の穂高岳には一度も登ったことがなく、本人曰くそのことが一番気がかりだったようで、一昨年穂高連峰の主峰奥穂高岳から西穂高岳に縦走して以来、穂高の「虜」になりました。そこで昨年は槍ヶ岳までの日本アルプスのハイライトを行きました。涸沢までの入山は本谷から雨が降り出し、夜半過ぎまで強い雨。朝は上がり北穂高の頂上までは晴れていましたが、大キレットは長谷川ピークを越えたあたりから湿った空気が残ったようで雨が降り出し、南岳まで何も見えない縦走でした。翌日は槍ヶ岳まで快晴!「女心と秋の空」言葉をそのままのような体験をしました。大キレットの稜線の気温(最低気温0℃最高気温10℃)風雨(風速5〜6m)での体感報告を・・・。まずパンツですが今まではモンチュラ社のヤルパンツを履いていました(細目でまとわりつかずいいです)が、今回はパタゴニア社のフレンチローストパンツ(現在はシンプルガイドパンツ)を履きました。生地は薄手なのですが、筋肉サポートを履いていると蒸れるので薄手のストレッチ素材の方がいいかと・・・。秋・冬タイプはガイドパンツですかね。一般的には、ショーラー社のドライスキンを使ったものが各社から発売されています。この環境には適度な保温性・吸湿性でお薦めです。シャツですが僕はマックパック社のマウンテンウォームロングスリーブジップ(ポリエステルとウールの混紡)を肌に直接着ています。パタゴニア社のR1フラッシュプルオーバー(継続販売されています)も交互に愛用しています。この次期は風が冷たくなるので、防風用に現在流行のソフトシェルジャケットは快適です。この次期はまだ保温性の裏地がついたソフトシェルより春物系の撥水・防風型のジャケットがいいでしょう。僕達はパタゴニア社のフレンチローストジャケット(現行モデルはフィギア4ジャケト・秋はスーパーガイドジャケット)。ノースフェース社のV3ジャケットを愛用しています。今回は雨の稜線だったので、雨具使用でした。そこで、大事なポイントを、この次期の雨は冷たくとても素手で稜線通過はできません。濡れると感覚も麻痺しぎみでミスに繋がります。レイングローブをお忘れなく!但し、裏地がついているものに限ります。ナイロン撥水処理だけのレイングローブは素手ではめていても冷たいだけです。おすすめはイスカ社のウエザーテックレイングローブ。ナイロン薄手を使う場合は中に薄手のインナーを使うといいでしょう。ロープを使う場合は雨の日も皮手を使います。ぐっしょり濡れますが以外に冷たくない。また、降雪になることもあるので、目出し帽(バラクラバ)、ウール手袋、オーバーグローブは携帯してると心強いです。3年前の同じ時期に剣岳源治郎尾根に社員研修に出かけた時は入山時、新室堂乗越でパラパラと霙っぽいのが舞い始めたなって状況から30分後には風雪に、剣沢小屋までに雨具はもちろんのことメリノウールの目出し帽、ウール手袋+オーバーグローブの世界でした。翌日朝までに15〜20cm積雪。源治郎どころか本峰にも行けずに、陽が差し始めた時間からトボトボと立山を周って帰ったこともありました。もうひとつ、停滞・休息防寒着として、薄手のダウンジャケットは心強い!
追伸: 今回筋肉サポートタイツはフェニックスのメッシュタイプ。ファスナーもついているのでハーネスしていてもトイレはしやすい。CW−Xからもエキスパートモデル前開きタイプが登場しています。一昨年は、早朝行動に寒いのは筋肉を労われないと思い保温用にアシックスから発売されているスポーツウールのハーフタイツを使いました。吸湿性・保温性ともによかったです。もちろん肌に直接。ブリーフやトランクス等との併用は窮屈でよくありません。

2007年9月6日(木)
秋山フィールドテスト 道具編
登山靴の本領が発揮される岩稜帯です。一昨年、伊藤君(彼は少々足幅が広いこともあって)にハンワグのクラックセフティという靴を履いてもらいました(今も継続使用中)。実測26.7cm(大きい右足)でUK8サイズを選択。あえてピッタリ系、遊びの少ないサイズ選択にしてもらいました。本人曰く「正直ちょっと小さいかな?と不安だったけどバッチリ。フィットとフリクション(摩擦力)がいいものだから足場にも安心して立てたし、ソールも柔らか過ぎず、硬すぎずで、何よりも軽いのがいいっすわ」だそうです。彼は僕たちの影響で今までは硬い登山靴LOWA社のアイガー(もう廃盤)を履いていましたから、それと比較すれば走っていけるほどの軽さでしょう。このハンワグのブーツは日本アルプスの岩稜帯を歩くために造られたような靴です。20kg以上の荷物を背負わなければ快適な靴だと思います。同じようなモデルが、スカルパ社からはサミットライト、ガルモント社からはタワーGTXが発売されていて、お店にもフルサイズ並んでいます。残念ながら、フィット感を意図としたこれらの靴は、足入れ感の楽さ・足運び易さだけが判断基準の現在消費ニーズには合わないようで、あまり売れないのが現状です。穂高連峰はもちろんのこと槍ヶ岳や、剣岳、などは一般的登山者からみれば立派な岩登りの山です。スキーはエキスパートでも登山はビギナーの伊藤君の感想は説得力あると思いません?興味をもたれた方是非、試履きに来てくださいね。僕はガルモントのタワーGTXを使っています。唯一欠点を探すならソールの磨耗が少々早いことかな?昨年からもうソールの限界かな?と思っていながら、夏山研修会にも使ってしまいました。やはりグリップ力が低下しています。すごく滑りやすい。キャラバン社のC君に「俺の靴、使用30日でもうこの減り具合」といって見せたら、「鈴木さん、もう張替えに出してくださいよ!」だと。僕は「もうこんなに減りましたか。新しいの送っときますわ」という大阪商人の気前のよさを期待してたんだけどなあ!

2007年9月3日(月)
大学生夏山U研修会(8月24日〜31日)
今年は秋雨前線が停滞して天気が不安定でした。雷を伴って大雨になったり、強風が吹き荒れたり。前線っていうのは台風よりたちが悪い!そんな中ほんの隙間をついてルートへ

4班の研修生は、室堂から立山を越え、真砂から内蔵助平へ下り、ハシゴ谷乗越を越えて剣沢に合流、剣沢を詰めて剣沢前進基地へ入山してきました。ハシゴ谷乗越から剣沢に合流し、あと一息ってところです。このあと一息が大変なんですけどね。

源次郎尾根T峰の岩稜を研修中の研修生!簡単な岩場ですが、「新人の部員を連れていったらロープなしで登る?」と聞くと「もし、ミスしたら終わりですね」と。

チンネ・中央チムニールートを登攀中の2班の研修生。

取り付きへのアプローチ、長次郎谷をつめる。今年は雪渓が複雑でいつもあるところがなかったり、ないところにあったり、苦労しました。

別山の岩場で研修中の1班の研修生。しっかり、練習しないと目標のルート登れないよ!

源次郎尾根T峰平蔵谷側上部壁成城大ルートを登攀中の1班の研修生。

ロープを使うことも、岩場も歩いた経験がないワンダーフォーゲル・探検部の6班。平蔵谷から本峰を目指します。

頂上の6班。雪渓からガラ場の通過。鎖場を安全に通過する手段の習得に満足気。

八ツ峰・Y峰の側壁全貌。右端よりAフェース・B・C・Dフェース。3班は広く快適なCフェースに向いました。取り付きをよく見ると小さい人間たちが見えます。見えないか。
左:1ピッチ目をリードする研修生。えっ!こんな傾斜きつかったけ?写真の撮り方なのか?、取り付きがはずれてるのか?

長次郎谷・左俣をつめて長次郎のコルへそこから北方稜線を本峰へ向います。岩稜帯を利用してロープワークの研修中の5班の研修生。この班も岩場や雪渓の経験が少ない学生達です。というより山行日数そのものが少ない。

ほんのわずかな時間の日照でした。長次郎谷熊の岩付近。

入山中日、秋雨前線の影響で大雨・雷警報が。そんな中、前進基地を使って危急時対策の研修。テーピングの基本を学ぶ7班。

本峰南壁AUを登攀中の花の女子7班。

水も酸素もお金が必要?
「どうして水までお金を出して買わなきゃいけないの?」と思いつつ、普通になってしまったこの頃。中山道ウォーキング時、和田宿の雑貨屋の女将さんに、「すみませんミネラルウォーターありませんか?」と聞いたら、店先の水道の蛇口を教えてくれました。都会人?の恥さらしをしたのを思い出し、ある記事に目をやると、昨年のミネラルウォーター輸入量は約40万7000トン、金額にすると約263億円で過去最高を記録したそうです。「たかが水、されど水」ですね。そして、最近はいよいよ日常生活でも酸素をお金を出して買う時代に突入。世界最高峰エヴェレスト登山と同じになってしまいました。何でも、酸欠気味の多忙な現代人のリフレッシュが目的だそうです。運動不足だけが現代人の特徴と思っていましたが、酸素摂取までもが不足気味とは・・・・。という穂高でも「飲む酸素」とかいって疲労物質である活性酸素消滅効果のある、バナジウムイオン&ゲルマニウムイオンの含まれた水を販売していますし、美容と健康維持に、とかいって「酸素マニア」なんていう圧縮酸素ボトルも販売しています。健康ブームでサプリメントだけが先行して、本当の健康である「ゆとり社会」になるのは程遠いのでしょうか? 毎週末に水と緑が新鮮な自然界で2日間、ボ〜と過ごして、疲労回復と体内の新鮮血液の蓄積にはなりませんかね? あるいは都会の酸素でも、2〜3キロを外で歩けば、自然吸引ができるのでは? でもでも、ゆとりある社会が出来上がるまでに、ストレスだらけの体にしてしまうのも、しゃくにさわるじゃありませんか!ということで、今しばらく水と酸素にお金を使ってみましょうか・・・。
 追伸: 飲む酸素水。人体の60%が水分で構成されてるそうな、60kgの僕の体の中は36kgが水分、この水分量を質のいい水分にするには、500ccのボトル72本飲めばいいことになります。1日1リットル飲むと約1ヶ月で酸素水人体になりますね。なわけないか?でも、僕の体験上では、ほんとにいい水分が貯蓄され、脱水防御、過労防止、疲労回復にも役立っていると思います。水分ローディングというそうです。何よりも継続が大事なようです。

500cc¥290より

60ccで12g分の酸素 ¥2090

夏に向けて・水分摂取の大切さ
登山中には、体重1kgあたり、1時間行動することで約5ccの水分が失われるようです。体重60kgの僕は1時間300cc失われます。みなさんの体重で計算してみてくださいね。水分摂取は基本的に失われた分を補給します。体重の2%が失われた時点で脱水状態が始まります。僕の場合なら1.2リットル、登山ではたった4時間水分補給なしで行動すると脱水状態になるわけです。しかし、日常生活そのもので脱水体質をつくりあげてしまうと、必ずしもこの計算通りにはいかないようです。すなわち僕の体重に対しての脱水量1.2リットル分は、日常生活の中でも毎日必ず摂取しておかないと、脱水体質が出来上がってしまいます。脱水体質で入山すれば行動によって計算どおりにいかず、「あっ!」という間に脱水症状が出てしまいます。日常生活での水分貯蓄(ローディング)忘れないでくださいね。
* ビールは特に要注意ですよ!何でも情報によりますと、ビールは500cc飲むと、倍の1000cc脱水するそうです(もちろんすぐにではないようですが・・・)。みなさんも言われてみれば経験上「なるほど」ですよね。ビール飲んだ後は必ず水分補給忘れないでね。

脱水すると
脱水が引き起こすさまざまな障害は、1)熱疲労といって、血液中の水分量まで減り、血圧が下がり、各器官への血液循環が悪化し、動悸、息切れ、めまい、頭痛、嘔吐などが起こります。2)熱痙攣といって、発汗による水分、塩分が大量に失われ、筋肉中の電解質のバランスが崩れ、ふくらはぎ、ふとももの筋肉に痙攣が起こります。3)「むくみ」も脱水障害のひとつで、脱水が進むと生体が反応で、それ以上の水分を失うまいとして、尿を減少させます。本来排出されなければいけない水分が、蓄積された症状です。よく、登山後に体重が増えてるって人は、この典型的状態では?食べ過ぎて・・・・、あり得ませんよ! 山中で、宿泊した翌日が最も多いようですが、下山して1〜2日続くこともあります。4)血栓もそのひとつで、血液中の水分減少で、血液の粘性が高まり、血液が固まってしまった症状です。中高年の皆さんは、最も注意が必要でしょう。これらの症状を熱中症といい、最終的には、日射、熱射と脱水がもとになり、体温が上昇し続け、発汗は停止し、運動の失調や意識の混濁が起こり死亡例のある結果です。私の友人は、熱中症の熱射と脱水がもとで、肝臓、腎臓障害の合併症を起こし、人工透析をしながら、1ヶ月入院していました。脱水は、オーバーワークという、自身の持久力以上の行動が長く続くことでも促進されますし、日焼けによる、皮膚の気化熱によっても促進されます。余裕をもった行動、長袖、襟付きシャツ着用の基本も忘れないでください。
 僕は山行中は、ミネラルウォーターが中心で、中でもナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウムなどの含有量の多いものを休息ごとに200〜300cc摂取します。汗の量とともにスポーツドリンクの併用もしますが、その場合、そのつどコップに作って飲んでいます。濃度も変えれるし、水筒の中は、水だけのほうが、裂傷などのケガが生じても、傷の洗浄に使える利点があります。ザックを下ろして休息がとれない環境での登山・クライミングでは、ハイドレーションシステムを使っています。この場合はほぼミネラルウォーターですが、時には小さいハイドレーションにスポーツドリンクを別途詰めて飲んでいます。山奥深い環境でのクライミング行為でない限り、そのものは、登山の行為よりは脱水しないような気がします。かく汗はひ汗!なんちゃって・・・。
 宿泊地に着いてからは、体内に貯めたくない汚れた水分を排出するために、利尿作用のあるコーヒー、紅茶などの嗜好品を飲んで、利尿したら、また水を飲む、を繰り返し1日が終わります。なんだか1日中水で始まって水で終わってるようですね。


2007年6月9日(土)
大学生夏山?1研修会

源次郎尾根から釼岳本峰に到着。今日の頂上は3000m。「今、釼頂上です。」と携帯で愛妻にコール?してる佐伯講師(中央)。その山頂、長居はダメよ!まだこの次期でも早月尾根の分岐まで雪稜でした。他の登山者は高津ガイドとお客さんの石黒さんだけでした。

本峰南壁寄りのルンゼで懸垂下降の研修中の7班。「お〜い、しっかりわかるように大きな声でコールしろ!」と頂上まで聞こえそうな声で指示を出す角谷講師(中央、何となくかっこよさそうなスタイル)

源次郎尾根上部の雪壁?を行く研修生。今日の雪は安定していて快適登高。

予定帰幕時間を30分遅刻。「10分遅れにつき腕立て伏せ10回の罰則!」のジョーク指示に、のって答える研修生。
研修会のDr.
研修会にはドクターが終日同行してくれています。今回は金沢大学病院で消化器が専門の水越英四郎先生。ご自身も金沢大学医学部山岳部のOBです。そればかりではなく、お父上は登山研修所がずっとお世話になっていた水越英隆先生。僕は1984年のネパールのガウリシャン・カール峰遠征・1988年中国・ネパール・日本3国合同エヴェレスト登山隊でもご一緒させていただき、高所でいつも頭痛に悩まされている僕に、「鈴木君、これ我慢せず痛くなったらすぐ飲みな」とさりげなくボルタリン鎮痛剤をポケットに入れていただいたのを思い出します。というのは、先生、88年エヴェレストのベースキャンプでくも膜下出血で倒れられたまま生涯を閉ざされてしまいました。英四郎先生と7日間の研修会ご一緒させていただいて、故英隆先生の分身そのものでした。

2007年6月29日(金)
雷雲
日本海の梅雨前線の活動が活発になり、本州付近に近づいてきているそうです。今日は、日本海から梅雨前線が南下してくるため、あすの朝にかけて東北や北陸地方を中心に雷を伴い1時間に40ミリから60ミリの激しい雨が降るおそれがあるそうです。土曜日朝までに予想される雨の量は、多いところで、東北の日本海側で150ミリから210ミリ、北陸で130ミリから180ミリ、東海で140ミリ、東北太平洋側で100ミリに達する見込み。そのほか西日本の日本海側でも、激しい雷雨の所がある予想。また、落雷や突風にも注意が必要と、気象庁は呼びかけています。
 雷は、積乱雲が発達したことで発生することが多いようです。例年梅雨明け寸前には、本州の北よりに停滞している梅雨前線に、南側から湿った空気が入り込み、北側の冷たい寒気と挟み撃ち状態になると積乱雲がなくても、危険な状態をつくります。今回もこの例でしょうか。冷たい空気がぶつかり合うと、摩擦電気が発生して雷を生み出すことはみなさんご存知だと思います。同じ積乱雲でも、発雷するものとそうでないものがあるのは、積乱雲の頭が−10℃線より、出ているかどうかが重要なようです。−10℃より上に積乱雲があれば、そこで霰(さらに上では氷晶)ができ、その霰が激しく運動することによって摩擦電気が生まれ雷が生じやすくなります。夏の気温で−10℃というと、気温減率からすると8000メートル付近、ということは、積乱雲の頭が8000m以上にまで発達しないと、−10℃の領域に入っていかないので、発雷しないことになるはずですが、寒気が入り、500ヘクトパスカル付近で−10℃という気温が発生すると。その高度は約4000m〜5000m付近。積乱雲が発達しなくても、前線の北側の地域はすごい雷でしょうね。
 夏山登山では、観点望氣で積乱雲の発達状態を見ることが大切です。この場合、雲頂高度で−10℃の高度(約8000m)付近まで積乱雲が伸びていると要注意!という判断材料頭の中に入れておくことを学習しました。

2007年5月28日(月)
残雪期のバックカントリー
先週の話が遅くなってしまいました。天気概況を見てみるとあまりの好天気予測で、桜井に「釼沢の友邦さんのところに21日にお世話になりますって電話しといて」。と前日の日曜日に決めて出かけました。剣沢小屋への今回のお土産は、桜井の地元、関谷醸造の夏一番酒「はつなつの風」。急な臨時休業にご迷惑をかけたかもしれませんね。雷鳥沢の尾根斜面を汗だくになってシール登高してるとカップルのボーダーが稜線から滑り始めたのが目に入りました。「おいおい、そのライン先日雪崩が起きたところ!やばいぞ!」と叫びたかったけど届かず。といっても、今日は比較的安定してるから危険はないと思うけど・・。数分後、そのボーダーと合流。すると彼女から「私たち危ないところ滑ってました?」と聞かれたから、「うん!レッドカード!」と答えちゃいました。今日の雪は安心と判断して滑ったならともかく、傾斜が回避できる環境としてだけで滑ったとしたら、いずれ埋まってしまうことにね。室堂山荘に泊って周辺を滑っているそうです。最近の室堂山荘は若いバックカントラーが増えてきています。けど、稜線の乗越の向こう側(剣沢)方面に滑っていく人たちは少ないようです。室堂山荘の立山が展望できる大浴場も極楽別天地でしょうが、剣沢小屋から目の前の望む釼岳の勇姿も別天地です。1日はこちら側にも入ってみて!
釼沢小屋から釼岳この次期にこの空の青さと雪の白さを味わえることはめったにありません。陽も長くなりつつあるので、天気がよいときは、稜線から陽が雲海の中に沈む光景にも出会えます。生涯忘れない光景ですよ!
*ウィークデイの黒部・立山アルペンルートは中国の観光客でいっぱいでした。ケーブルもバスも、中国語ばかりの中に日本語は僕ら3人だけ、何処に旅に来たんだっけ?室堂で、立山のガイド、多賀谷さん、日プロの島田君に出会って、おっ、やぱり日本の立山だよ!ってなもんでした。

2007年5月10日(木)
ウェアーの体感 その3 残雪期外着
秋・冬にソフトシェルという外着を書き込みました。この次期の降雪・降雨の行動時の外着はレインウェアーが実践的ですが、それ以外で外着が必要な環境はやはり「風」でしょう。僕の経験ではこの次期に外着を着ずに稜線で行動できるような穏やかな日はあまりなかったように思います。レインウェアーの使用頻度よりはるかに高いものです。秋・冬にその季節用のソフトシェルを手にされたみなさんなら、中間着を薄手に変えるだけで十分に継続して使える環境です。夏向けのソフトシェルは保温性素材を使わずに通気性・ストレッチ性・防風性を重視して、プラス機能として撥水性をもっています。この残雪期を境に無雪期向きに使い分けを意図とされるならパタゴニア社のフィギュアー4ジャケットはとても動きやすい外着です。ホグロフスのスピードジャケットスピードUジャケットも同様にいいジャケットです。

2007年5月10日(木)
ウェアーの体感 その2.残雪期中間着
状況がいい残雪期では、中間着=外着ですね。下着同様積雪期ほど保温性に趣きを持つ必要もないので、多品種・バラェティーにいろいろ使い分けて着てみると楽しみがあっていいと思います。僕は、この中間着、下着を着ずに直接肌に着ても汗が溜まらない素材のものを中心に使っています。下着が汗でベタついて、乾くまでに時間がかかりそううな環境では、下着を脱いで中間着を直接着ます。そして湿っている下着を中間着の上に着て、外気温を直接当て乾燥を促進させます。濡れて乾きが悪い時にいつまでも肌に付けておくと、繊維の乾燥のために体温を奪われ気味になり、消耗します。僕はパタゴニアのR1フラッシュプルオーバーが一番使用度が多いですね。最近は、キャプリーン3ジップネックも使用していますが、やや耐久性に欠けますので、日帰りもしくは1泊までの短期登山向きのような気がします。

中間着補足
残雪期の高山に向かわれる方にはあまりないことなのですが、低山を歩かれる特に女性のみなさんから、「暑くてしかたないから、涼しいウェアーないですか?」の質問は多いですね。暑い季節に下着の上に中間着(この環境では外着ですから行動着ですね)という具合に重ね着をされていると「ムレ」が生じます。女性の場合は下着といってもブラがあるわけで、その繊維の上にTシャツ系下着、その上に行動着となると繊維は3層です。みなさんが、吸湿・速乾性として求めているポリエステル素材の欠点は熱伝導が高く、特に紫外線によって繊維自身もすごく熱を持ちます。その特性が皮膚温度も上げてしまいます。それが3層となれば「ムレ・ムレ」となって・・・。気温が高く、紫外線もそれなりに強い環境には綿素材が一番熱を遮断するのですが、じっとしてるならともかく、登山のように動きまくるとそれによって生じる汗の処理が間に合わない。そこで、速乾性の富んだポリエステル素材がアピールされているわけです。ということで、「ムレ」が生じないためには、Tシャツ系下着をはさまずに、行動着を直接肌に合わせたほうが。、暑〜い環境では、それでも運動してるわけですから暑いところは暑いかもしれません。どこまでを人間が環境と運動の中から体感を認めるか。最後はこれに尽きますが・・・・、涼しいウェアーを求める前に、着こなしも見直してみましょう。

2007年5月10日(木)
ウェアーの体感 その1.残雪期下着
ゴールデン・ウィークが過ぎても6月いっぱいは、高山は残雪期、低山は無雪期新緑と同じ山登りの行為をするにもまだまだ環境に大きな隔たりがある季節です。積雪期には、ウールにしろポリエステルにしろ、繊維にやや厚みのある下着を着て保温だけに焦点をおいていました。残雪期は気温も上昇するため発汗量も多くなります。速乾性を生かすためにも薄手が理想です。僕はメリノウールの半袖を使っています。高山は残雪による反射熱が強いのでその暑さは感じますが、まだまだ汗で濡れた繊維を速乾してくれるほど、日照も強くありません。やや保温性を持っている薄手のメリノウールは、速乾性は今ひとつですが吸湿性と保温性には信頼がおけます。

2007年4月20日(金)
次期遅れの凍傷の話
ちょっと前の話ですが、『山と渓谷』の2月号タイトルは重かったですね。「遭難 する人、しない人」。この中身は賛否両論でしょうが、終わりの方は、今シーズンは紹介してはいけなそうな、パウダーランの記事が載っていました。始めは北海道十勝岳周辺、このエリアは僕達は気軽に行けません。次のページは僕達にとって、お手軽(怒られそう)バックカントリーの代表エリア白馬・栂池。おっ!かっこいいライダーと思い、本文に目をやると、うちの店によく出入りしている長谷川雄一君。来店時に、「なかなかやるね〜」とプロのライダーを冷やかしました。機会があれば見て回想してくださ〜い。
 本文には金田正樹先生が、「凍傷の医学」を書かれています。「治療」・「症状」は先生にお願い部分ですが、「機序」・「原因」・「予防」は勉強になります。大切な部分を明瞭・簡潔に力説されるところが先生らしい。ケガで外傷のない応急処置研修では「骨折を想定して処置をしなさい。それ以外の方法は学ばなくてよし!」は印象的でした。
 その金田先生、山と渓谷社から「感謝されない医者」という題名で出版されました。凍傷治療を始めて30年、これまで800例近い患者を診察され、いまでも年間その数は減るどころか、増えつづけているそうです。先生おっしゃるには、退院時、唯一感謝されないのが凍傷の医者で、理由は患者さんが「指を切られた」という意識が強いからだそうです。本書は、そうした患者さんの心理に言及しながら、凍傷の最近の治療法まで綴った先生の独白記です。あっという間に読みきり。

2007年3月11日(日)
八甲田
あまりにバックカントリーのお客様が増えて(そのわりには物販としての数字は上がりませんが)、「八甲田って行ったことあります?状況や必要装備が知りたくて・・・」という声が多くて、とうとう社員研修として行くはめになってしまいました。晴天率の低いこのエリア、吹雪いて視界が悪くフィールドに出て行く条件でない時、ゲレンデで遊ぶには、ゲレンデのスケールが・・・・。機動力の源のロープ・ウェイが気象条件で止まってしまうと、ほんとに単なる温泉旅行になりかねない。という想像が中々足を運ぶ決断にならなかったのです(実際初日はロープ・ウェイもリフトも動かず。3日目も午後1時半から動かずでした)。初日はシールを付けて、気温10℃という異常気温の中、汗だくになって通称カモシカコースを毛無岱まで上がり滑走。僕達は腐り雪に慣れているものの、八甲田のパウダー期待感からか、すごいストレスを受けました。しかし、天の神様はいるものですね、翌日から時間積雪3cm程の降雪、例年からすればにわか雪ほどの降りでしょうが、膝クラスの積雪に。2日間は今季味わったことがないようなパウダーが楽しめました。といっても、楽しめた環境を与えてくれたのは、八甲田スキースクールのH君。僕らだけでは入っていくのも躊躇するような吹雪の中もGO!といっても強引ではありませんよ、安全の根拠があって。1日4本も、ある程度ロングルートに出る機会は少ないようで、イケイケの僕達に「久しぶりに楽しめました」とガイド役も喜んでいただき、八甲田ルートファンディングの企業秘密の一部も伝授してくれました。まあ、僕らだけでもトレースは問題ないにしても、時間・体力は費やすでしょうね。たぶん1日1本。それも快適バーンには出会える確率は・・・。ゴール地点から帰るだけでも2〜3時間は費やされますが、お迎え車が来てくれますもんね。僕はこれだけで幸せってところでした。八甲田はガイドさん付きバックカントリーツアーのメッカですが、現地で集まった技術、スタイルもまちまちの未知グループでも楽しめないことはないでしょうが、満喫するなら3〜5人までのプライベートがおすすめです。
ガイドのH君がプライベートでよく入るマル秘バーン。膝パウダーを楽しむすーさん。ご覧のように積雪が少ないため、バーンにうねりが出来ます。この場面はほんの一時の有視界でしたが、見通しの悪い時だと、パウダーに満喫するあまり、うねりの状況キャッチが遅れて大転倒ってことも。パウダーでは転倒もそれなりの楽しさですかね。

つかの間の晴れ間から眺める八甲田大岳(毛無岱付近から)。

2007年2月22日(木)
シャルマン火打スキー場
アクセス: 中央道〜長野道〜上信越道で上越ジャンクション、北陸自動車道・能生インター下車、往復約800km
新潟県北陸自動車道・能生インターチェンジを出て30分程山奥に入ったところにシャルマン火打というスキー場があります。ゲレンデ内には非圧雪のナチュラル環境がたくさんあり、スキーヤー責任とルールを積極的かつ理論的にアピールしているめずらしいスキー場です。パウダーブームでボーダー・スキーヤーに少しづつ浸透していっているようです。ゲレンデトップから南西に森林稜線を約1時間程行くと「放山」の山頂に着きます。そこは自然の姿そのものです。幸運なことに、快晴で、澄んだ空の青さの中に真っ白に写る火打岳・焼山の姿は圧巻でした。フィールドはスケールは小さいものの、天候の悪い時はゲレンデを利用して技術練習も取り組める環境がうれしいし、山スキーの入門にも、環境体験練習にはすばらしい自然が提供されています。僕達愛知県からですとアクセスが遠いのがたまにきずですかね
    放山山頂より、焼山・火打岳を望む
こんな環境シーズン何度体験できますかね?

放山山頂付近のパウダー?
放山山頂から北西面は自由にコース選定が可能です。僕達は山頂からさらに稜線を南に進み西面の斜面も滑りましたが、地形が複雑で有視界といえども滑走ルートファインディングが必要です。適当な高度まで滑り降りて、再びシールを着けて稜線まで登り、今度は北西面を適当なところまで滑り、シール着けて主稜線に向かってトラバース。という具合に楽しみました。笹倉温泉へのツアーコースとしても使われてるようです。東面も滑走する人があるようですが、入りたくない環境に見えました。ほんとに有視界のおかげ!
桜井曰く、「鈴木さんちょっと後傾ですね」だと!確かに・・・。でも、ここ、雪質がクラスト・モナカに変わったところをとっさに対応してるんです。パウダーといっても雪の量ご覧の通りです。2月にモナカですよ!

放山北西面の樹林の中を目がけてドロップアウト(滑り出しのことを言うそうです)!豪雪地帯のこのエリアでも例年のマイナス1m以上かな?といったところでしょうか。
山岳部の学生F君のフィールドデビュー

頂上から「行きま〜す」気合は十分。

ところが、気合だけでは・・・。

若さと道具で、何とか「まとまり」ました
バックカントリー
山岳部の学生を連れて山スキートレーニングに。なのにタイトルは「バックカントリー」?僕的に現代ごちゃ混ぜ日本語を使ってはいけないなあと思いつつ、山スキーとまで奥深くない環境で山スキーっぽいことするからバックカントリー?あ〜、もうどっちでもいいや。流行だからバックカントリー。で、今シーズンになって初めてスキーを経験したF君、何と、それなりに楽しめたそうです(まあ、ゲレンデでいい指導?を受けてますからね)。そりゃ転びますよ。しかし、僕が初めて山スキーを体験した時に比べたら・・・・。僕の山スキー初体験は立山山麓の秘蔵金塊で有名な鍬崎山。四日市のシャモニの浜ちゃんと雨の中雪洞でビショビショになり、グシャグシャになった重い雪を力任せに転びたくって極楽坂スキー場(現在の雷鳥バレーかな?)に降りてきたのが思い出されました。当時の僕のスキーオガサカGF303。浜ちゃんはアジアイレブン。僕は、初使用で、重い雪の中を無理やり曲げたところ雪に突き刺さって足よりスキーが折れてしました。そんな自分の経験から察するに、現在の道具の進歩は、前にも書きましたが「敬服」に値します。当時の僕は楽しむどころか苦痛でしたからね!

2007年1月23日(火)
妙高高原赤倉温泉スキー場〜プチバックカントリー
豪雪地帯として名高いこのエリア、隣の関温泉・燕温泉などは毎年この時期なら4mを越える積雪量。今年は何と1mをちょっとオーバーした程度。赤倉温泉スキー場から、赤倉山の前衛峰の前山へはプチバックカントリーが楽しめます。といってもオープンバーンがあるわけではないので、パウダー用の太い、長いスキーだと苦労するかも?そういえば昨シーズンの1月28日には、雪崩で2名の負傷者を出しました。状況によってはプチバックカントリーなんて言葉を使ってる場合ではありませんね。スノーシューを付けて、シール組の桜井・イトさんにはスピードでかないませんので、最短距離をねらってスタート。晴れたりガスたりの天気の中を快適に高度を稼ぎ、約2時間で前山の頂上に。登高路を滑るかと思えば、桜井が「今日は有視界ですから、こちらの尾根(滝沢尾根)を滑りませんか?」と言うので同意して滑走開始。尾根伝いはやや最中っぽい不快な雪、強引にターンしながら高度を下げ、切り開かれたややオープンバーンは重めながらもパウダーが楽しめ、気分はハイ!実はここだけで後は樹林のブッシュとの戦争でした(ガイドのルートファンディングが悪いもので)。ヘルメット・ゴーグルはブッシュの中でも強引に突っ込めますよ!ただ、スキーのトップがブッシュに引っかかって思わず飛び込み前転なんてシーンも(それくらい雪が少ない)。僕は途中からシューに履き替えて下りました。プチバックカントリーがゲレンデに下りてきたのは午後4時30分。パンひとつとペットボトル1本の携帯食料はいっつか空!無謀バックカントラーの見本!使用スキーは前に紹介したノルディカのアルペンモデル、ホット・ロット、トップ・フューエル。 
TSLアルパインモデル(325GA TSL325グリップアドベンチャー)。スキーブーツ・ツアーブーツにはワンタッチで履くことができ、バックル等も干渉しない、僕の愛用おすすめシューです。

2007年1月14日(日)
SKI
この業界に入って25年が過ぎました。僕も初めてスキーを履いたのが大学生になってから。当時は今のようなカービングスキー(現在では当たり前になってきてカービングスキーとも言わなくなりつつあります)ではなく、現在のスキーから見るとノルディックスキーのような槍型でした。忘れもしない岩岳スキー場の緩斜面を何度転びながら下りてきたことでしょう。桜井が今年から、山岳部の学生達に「山スキーを始めるぞ!」とスキーすらやったことのない学生達にアピールしたところ、彼等も乗り気!やはり雑誌等でパウダーをかっこよく滑ってるライダー達の写真は刺激になっているのでしょうか?「そう簡単に滑れるもんか!あんな環境もシーズン何度もあるもんか」と叫びたくなるのをぐっと抑えて、「お〜、メッチャ面白いぞ!」と炊きつけ、それには「道具が大事だ」とスキーまで買わせました。適正なメニューを何種類か出しておいて、好きなのを選択させたらデザインが若者受けする「K2」のフリーライドを!年末年始のスキー合宿を共にしましたが、奴ら、スキーなんてほぼ初めて履いたにもかかわらず、もちろん技術にはなっていませんが、僕がスキーを履いたときに比べると転ばずに下りてきます。ほんとうに道具の進歩です。ということで、スキーやってみたいけど不安というみなさん、心配せずに挑戦してみて!でも道具の適正が条件ですよ!とともに、スキー経験豊なベテラン組みのみなさんも、周りの若者に楽しく体験してもらえる環境を作ってあげてくださいね。
 山岳部の学生が選んだスキーです。そして、初心者でも転ばずに滑ってこれるメニューです。もちろん上達した時にフィールドに入っていっても役に立つような太さと、山スキー仕立てにしてあります

K2 Fujative 159cm R15m付近

K2 Missdemeanor 155cm R15m付近

2006年12月18日(月)
電波だらけ
お店には若い?バックカントラーのお客さんが増えています。週末はばっかりといっても・・・。問い合わせのほとんどが、ビーコン・GPSです(対応は桜井にまかせっきり)。ちゃんとしたショベル持ってるのかなあ?とともに、除雪や雪穴掘りってしたことあるのかなあ?と・・・。でも聞けませんものね、問い合わせはそんなことじゃないものですから。昔の話をすると、時代錯誤と批判を受けますが、ビーコンだ。GPSだ。てなハイテク器具を使って安全のバックアップをとるようになったのはここ最近のことで、使わずにフィールドに入っている歴史の方がはるかに長いですもんね。しかし、昨年の長野県下の雪崩・凍死事故は過去ワーストだったそうですよ。はて・・・・?しかし、ショベルは昔〜から持っています。生活どころか、ラッセルにもよく活用しまますもんね。あっ!無線機も持っていますね。今は・・・、+ビーコン着けて、GPS持って、携帯電話持って、体中電波だらけです。正〜直、こんなの着けて自然界に入るって自然なスタイルじゃないですよね。もっと大事なことが?隠れてるのでは・・・?持たずに行ける環境・状況を徹底してさあ!といっても、年末の合宿では練習項目にも入れなきゃ!あ〜、やっぱり持って行くことに!販売業界人がこんなことを言ってはいけませんね。

2006年11月20日(月)
スイスメタ
ご存知の方が少ないかもしれません。ガソリンストーブしかなかった時代に、予熱用固形燃料として、必需品でした。現在はガスコンロが主流、ガソリンストーブでも予熱不要?が増えているようですが、僕の使用経験上はで、このメタで予熱をしてからの方が、火力も安定するような気がします。今回は予熱用に、このメタを伝えたかったわけではなく、昨年も気象遭難による凍死が相次ぎました。凍死である以上、過労もさりとて、その時の自然現象における「防寒」が十分ではなかったと言えるでしょう。どんな雪山環境に出るにせよ、しっかりした雪洞が短時間に作ることが可能なショベル、ツエルト、保温のしっかりした下着の着用、ダウンジャケット(インナータイプでも)、ガスコンロ、ボンベなどの、防寒対策装備の携帯は怠ってはいけないという教訓を受けました。そこで、非常用パックの中に、このメタも入れておいては?1ケースに10個の固形燃料が入って重さは95g、¥780税込。2パック持っても、たったの190g。これなら重さに敏感な中高年登山者のみなさんにも説得力ありませんか?3人のパーティーで1人1パックづつ携帯していれば、ガス欠になっても1晩は十分過ごせます。無雪期ならガスボンベがなくてもビバークを助けると思います。ビバークが大丈夫な装備を携帯していれば、早く下山しなければという焦りの心理は働かない可能性も・・・。
PS.昔は必携だった、キャンドルも火力こそありませんが、たとえ小さくても、明かりと火は精神的にも強い味方になります。

2006年11月20日(月)
ルート旗
今回は雪山登山する際に、みなさんも、されてると思いますが、ルート旗の話を・・・。山岳部の学生とホームセンターで買ってきた竹棒に、赤地の布を横30cm、縦20cmに切り、竹棒を差し込むマチを縫って、竹棒に差し込んでルート旗(以前はミッテルと呼んでいました)を作っています(これくらいの大きさじゃないと吹雪いていても見えません)。白馬エリアの稜線をピークハントに向かう時は、30本程度を持っていき、尾根の方向が変わるポイント、あるいはその状況でわかりにくいと思われる箇所に立てていきます。コンパスを使ったバックベアリングも習得技術に時間がかかりますし、GPSも高価ですし、一番単純で、簡単な方向間違いを防ぐ道しるべの方法だと思います。おっと!登ったところを下らずに、違うところに抜ける場合は約に立ちませんね。でも、その場合、行動するなら、基準点から偵察をしながら、少しづつ先に進むと思います。10本くらいでもあれば心強い!スキーは下るスピードが速いですからね。あれっ?と気がつくとかなり間違った方向に降りてしまってます。そういう僕も、たまたま雪崩に合わなかった偶然性に助けられ生還という経験を、振り返ると「ゾッ」とします。
2006年12月18日(月)
赤布
今日、モンベル社の担当者Y君と営業本部長Kさんが訪問されました。お昼ご飯を一緒した後、ルート旗の旗の話しをしたら、「工場にいっぱい赤の布地があるから作りましょうか」っておいしいこと言ってくれました。助かるなあ〜と思えば、「たくさん作って売ってくださいよ!」と、さ〜すが営業本部長!あまり期待せず待ちます。

2006年11月20日(月)
気象遭難
10月の白馬岳・穂高岳の遭難は記憶に新しいと思いますが、昨年の北アルプスでも気象遭難による凍死が増えているようです。条件が良ければ、「ルンルン」バックカントリー行為になる環境も、吹雪始めれば、身動きがとれなくなってしまいます。「何ときゃしなければ」と必死になって行動する心理は理解しますが、疲労困憊になってから、ビバークサイト作りでは手遅れ気味ですかね。行動を起すにしても、まずは、落ち着いて、荒れたくる自然現象が回避でき、疲労回復ができるシェルター作りから始めましょう。現在市販のツエルトも、軽量・コンパクトを意図とするあまり、生地がどんどん薄くなってきています。無雪期になら、現状の生地でも十分でしょうが、強風雪の環境ではツエルトだけを被っても、固定しなければ、飛んでしまい、しっかり固定すれば、生地が破損してしまい、シェルターとしてのバリアーを失ってしまうでしょう。強風雪や、雪崩の危険性から少しでも避けれる環境に早く移動し、雪洞掘りです。この穴掘り、以外に大変!スノーフィールドで時々、「快適雪洞作り」とかいって、遊び的「ごっこ」の体験を増やしていきましょうね。このショベル、軽量・コンパクトばかりに着眼せず、ある程度硬い雪でも大丈夫系のしっかりしたものにも目を向けてください。一人1本、個人装備であることもお忘れなく!

2006年11月18日(土)
バック・カントリーギアー その4 シール
その2でスキーに貼り付けるシールを紹介しましたが、その詳細を少々。最近主流となっているバック・カントリー向きのスキーは、カービングスキーの中でも特にトップ幅、センター幅、テール幅が広くなっています。新雪で浮力を出すための形状と言っても過言ではありません。それはそれとして、登高のためのシールもそのスキーの形状に近いカットをしないと効率どころか、ズレてしまって登高不能となってしまいます。特にスキーのセンター部分に近くなるにつれて重要で、スキーの滑走面(エッジを含む)とシール幅との間に左右それぞれで5ミリ以上の空きがでるようなシールのカットでは、斜登高の際にスキーが谷側にズレやすくなります。主流のバック・カントリー向きスキーはシールサイズで幅110mm・120mmの2サイズの中から選択すればほぼ該当でしょう。次に、シールのタイプですが、1.スキートップに引っ掛けてテールに向けて貼り付けるだけのタイプと、2.ヒールに引っ掛けるフックが付いているものの2タイプがありますが、日帰りバック・カントリーの域を越えないのなら1.のヒールフリータイプの方が、簡単で脱着がしやすいといえます。長期のツアーには2.のヒールフックが付いているものの方が、継続支持力が高くていいでしょう。ただスキーがツインチップ形状(スキーのテール部分がトップと同じように丸く持ち上がっている形)のものは、1.のヒールフリータイプが形状的に向いています。昨シーズンからマジックマウンテンというメーカーからこのツインチップ形状用にテール部分もトップ部分と同じフックが付いているものも登場しています(僕も使っていて調子いいです)。スキーは全体に幅広の形状のものが浮力があって環境対応に優れていることは定説となりました。テール部分もこのツインチップ型が、さらに操作性がいいこともわかってきました。テール部分の雪面からの抜け具合もスムーズです。シールは基本的にスキーの形状に合わせて商品的にカットされているものはありません。スキーより幅広く出来上がっていて、それぞれのスキーに合わせてカットしていきます。できれば、バック・カントラー自身が自分のスキーと照合しながら自らカットしてほしいものです。といっても、実際は・・・・・!

2006年12月13日(水)
バックカントリーギアー その3 ツアーブーツ具体例
今シーズン、とうとうスキーソールにも交換できるというツアーブーツ、ガルモント・アドレナリンを履くことになってしまいました。今までは、スキーソールに交換した方が快適な環境では、スキーブーツで行っていました。要するに使い分けていたのですが、某業界人から「売れてるんですよ!使ってみた方がいいですよ!」と説得され・・・・。僕はソールがどうこうということより、自分の足フィットを従来のツアーブーツGライドと比較すると、バランスがとれてるかな?って興味です。規格のオタクっぽいことを言いますと、僕の足、、実測25.0cmなのですが、第一指(親指)が短いため、やや小さめのブーツの方がフィットもバランスもいい感じです(ほとんどのブーツは24型、ソール長で285mm付近です)。しかし、Gライドの24型はソール長280mmで小さくて履けないので、290mmの25型、これだとフィットがイマイチ!でも仕方なく、まあこんなもんかと使っていました(ローバ社・ダイナフィット社もほぼ共通)が、このアドレナリン25型が287mmと標準よりやや小さめです。この規格が僕の足にマッチというわけです。スキーソール付け替えたりしませんよ!従来どおりスキーブーツで行きます。スキーソールパーツ分だけ値引きしてほし〜い。
初滑りで使ってみました。うん!やっぱり僕の足とのバランスが良かった。今シーズンはスキーブーツ履かないことにしようかな?

ブースターストラップ
これ、特別なものではありません。最近のスキーブーツには最上部にフィットや伝達を高めるためにベルトが付いています(通称:パワーベルト)。そのベルトの高機能バージョンです。ベルト自身がエラスティック構造になっていて2ウェイ方向の伸縮します。そのことで、足首の動きをブロックせず、力の伝達機能が向上して、いい感じで、新しい操作感覚が感じとれます。昨年もたくさんのエキスパートスキーヤーから絶賛された逸品です(僕、エキスパートスキーヤーじゃないけど、昨シーズンから使っていました。元に戻せません)。今シーズンはレベルアップを目指すスキーヤーや、ツアーブーツ向けにやや柔らかめのスタンダードというアイテムが登場しました。早速、僕のアドレナリンに装着して使ってみました。い〜ですよ!スカルパのトルネードリミテッドには標準装備されてるようです。¥70000も出すならスキーブーツメーカーの最上モデルがゲットできちゃう!(おっと業界人がこんなこと言っては・・・・)
ブースターストラップ・スタンダード目新しいような特別な物ではありませんが、単純なところに改良点があり、思わぬ効果があることを、思い知らされました。単なるパワーベルトで、¥5040(税込)とは高価なものですが、体感したら納得です。

2006年11月18日(土)
バック・カントリーギアー その3 ツアーブーツ
3点備品(ビーコン・ショベル・プローブ)や細かい備品は除いて、足元ギアとしては最終形です。スキーはその2で紹介したシステムですが、ブーツをスキーブーツではなくツアーブーツに仕立てます。日帰りでも歩行距離、時間が長い場合や連泊のツアーには、ツアーブーツがいいでしょう。このブーツはソールが傾斜のある雪上を歩行しても滑りにくいゴム底になっている(登山靴系)他に、アッパーシェルにウォークポジション・スキーポジションと切り替えができるシステムが搭載されているため、長時間の歩行や硬い(氷化した)急斜面でスキーを外して、ブーツにアイゼンをつけて登らなくてはいけない環境に出くわしたときに機能が発揮されます。では、ゲレンデで滑るのは?となると、スキーブーツと比較するとね!個人の感覚的な要素が多いと思いますが、よく言われていることは、ツアーブーツはソールがゴムなので硬い圧雪バーンではソールが捻じれるためスキーブーツと比べると伝達支持力が弱いことです。まあ、ある玄人理論は、ツアーブーツの特徴を知って、それで正確に滑ること!こそほんとの「技術」だそうです。おっしゃる通り敬礼!です。でも、僕は、玄人までいかないので、環境・行為によって使い分けています。バック・カントリーの総合的なことを考慮するなら、ツアーブーツが鬼に金棒ということになりましょうか。昨年からガルモント社のスキーソール・ゴムソールがビスで交換できるシステムのブーツ「アドレナリン」が発売され始め、注目されています。

2006年11月18日(土)
バック・カントリーギアー その2
その1よりもう少し機動力のアップした組み合わせを紹介してみます。ボーダーはスノーシュー以外の方法で登ることは無理だと思いますが、スキーヤーはスキーの滑走面に、滑り止めの「シール」を付けることで登高が可能となります。これだけでもスキーは滑り落ちませんが、進むのにいちいちスキーを持ち上げていかなければなりません。そこで、スキーを滑らせて進むために、スキーと固定されているバインディングのヒール部分がスキー板から持ち上がっていく(ブーツとバインディングは固定です)ツアー用バインディングを取り付けます。スノーシューでの登高よりさらに効率が上がり機動力がグ〜ンとアップします。現在のツアー用バインディング(穂高で扱っているフリッチ・ナクソーというメーカー)は、ISO・DINの両規格の認可がされていますので、スキーブーツでも適正にセッティングできます。ということでゲレンデで滑っても何の問題もありません。いつもシールをもってゲレンデで滑りながら、状況見て「ちょっとフィールドへ出るか」と出掛ける、そんなのがバック・カントリーのほんとうの楽しみ方なんでしょうね。ただ、現在のアルペン(ゲレンデ用)スキーはほとんどがメーカーの策略?で(正確にはスキーのフレックス・トーションバランス妨げないためのシステム化で、その通り品質・機能向上しています)、バインディング一体型になっていて、ツアー用のバインディングを付けることができません。しかし、スキーライフの多様化が進み、どのメーカーもフリーライドというカテゴリーのスキーを充実させています。このスキーは、「自由」がテーマで、パークで飛んだり、自然の雪の中を戯れたり、テレマークのスタイルだったりと、バインディングも自由に取り付けられます。、このカテゴリーのスキーの特徴は悪雪、新(深)雪で、操作(特に浮力)しやすい設計(トップ・センター・テール部分が幅広)になっています。僕はゲレンデでも使っていますがメチャいいですよ!中・高年のスキーヤーで楽〜に楽しみながらクルージングするにはこの手のカテゴリーのスキーはいいと思います。このスタイルもスキーブーツでシール登高が可能な環境・時間の限界は知っておきましょう。テレマークはもともとヒールフリーですからシールを用意すればOK!しかし、登高標高差があまりなく、短い時間で滑り出し地点(ドロップアウトポイントというそうです)まで行くことが出来る場合は、シールの脱・着より、手間のかからないスノーシューがよいようです。
* アルペントレッカーやセキューラフィックスなどの、スキーブーツとアルペン用バインデングに間接的に登高システムを作り上げるサポートギアーも使用限界を理解して使いましょう。

2006年11月18日(土)
バック・カントリーギアー その1
「バック・カントリー」、スノーフィールドスポーツの流行になってきました。自然環境に対してどんな行為を「バックカントリー」と呼んでいるのか。僕も?です。外来語をそのまま日本語的に使うことは・・・・。と思っているのですが、雑誌にも頻繁に使われるようになってくると、僕の主観を主張するわけにもいかず、長い物に巻かれ気味です。登山者的発言をするなら、山の中で(ゲレンデ以外)スキーを使って登山行為をするのだから、「山・スキー」!理屈っぽいことはさりとて、お店にも「バック・カントリーをするには何を揃えたらいいのか?」という雪山フィールド経験がないお客様の問い合わせ、来店が増してきました。最近は高齢者の方々が特に目立ちます。バック・カントリーに雪山フィールド経験が必要か?といえば基本的には「必要」でしょう。ただ現在はガイドさんが同行したツアーが数多く組まれているので、信頼のおける管理の下でするなら、経験の有無を問う必要はないかもしれません。まあどんな優秀なガイドさんや指導者のもとでも、環境と道具が一致していないと快適性も得られないどころか、行為も成り立ちません。一般のスキーヤー・ボーダーの人達の関心も高まってきてるようなので、自分たちの経験から装備の基本コーディネイトのアドバイスを少々。ゲレンデ外のフィールド(一般的にパウダーと表現されているようです)を滑ることが目的のこの行為には、基本的に滑る道具(アルペンスキー・テレマークスキー・スノーボード)があればOK!です。まずは、バック・カントリーというより、オフ・ピステ(あっ、また和製外来語を・・)といったところからでしょうか。この場合は歩行距離はしれてますので、そのままのスキー・ボードブーツで、歩くのにどこまで潜ろうが、いい意味の雪遊びです。次に、さらにゲレンデ外に遠く出て行くには、オフ・ピステに移動した行為をもう少し長く続けますので、そのままの姿ではスムーズに進めず、結果は悲惨です。そこで働くのが1.スノーシューという日本でいう、わかんじきです。わかんじきと比べると外形も大きく、浮力があるのでブーツそのものの歩行の3分の1位(平均)の沈みで歩行が可能です。最低限アプローチに1.スノーシューは必要となります。スキーブーツに取り付ける方々から相性をよく聞かれますが、スキーブーツのバックル位置などが普遍的(機種やサイズ)なので、確かめる方法しかありませんが、ちょっと位置をずらしたりして工夫すれば、バンド式のシンプルなスノーシューならおおよそ大丈夫ではないかと・・・。まあ相性のいいスノーシューもあるので、紹介しておきます。TSLの本格アルパインモデル (325GA TSL325グリップアドベンチャー)はワイヤーゲートのワンタッチバックル式で相性もいいでしょう。関連して細かいことですが、滑り出しはそのスノーシューを外しますから、外したスノーシューを収納したり付けたりするザックは必要です。この際、ゲレンデ滑走用のスキーブーツ、ボードブーツで歩行できる限界(環境・時間)は知っておきましょう。

2006年11月5日(日)
寒気と手袋(素材の使い分けより厚さの使い分け)
手袋も、インナー・中間・アウター(シェル)と3層に別れて製品化されています。素材もポリエステルやウールを使った薄手・中厚・厚手(条件が良ければそのまま外)、フリースに防風処理したウィンドストッパー。アウターにはゴアテックスやその他の防水処理されたオーバーグローブ、そのシェルに断熱、保温材をインシュレーションしたシステム(どう呼ぶのかな?)グローブ。これまた種類豊富というか・・・。昨年末・年始は、最近例のない寒気の影響で、「手が凍傷気味に・・・」というお客様が何人かいらっしゃっいました。3000m峰や、緯度の高い豪雪地域の積雪期登山される方に僕の経験を・・・。この地域に入山する時は、ポリエステル、フリース系素材の手袋は使いません。理由は濡れると冷たく、いったん冷え始めるとあっという間に究極(凍傷)に追い込まれることがあるからです。入山アプローチには薄手のウール、中厚のウールを使い分け、稜線に近づくにつれて厚手に変えていきます。もちろん条件によって、厚さの使い分けは変わってきます。風雪時はオーバーグローブを着用しますが、長期山行時は5本指用と2本指用の両方を使い分けます。僕たちが登山を始めた30年程前は、先輩達から「手袋(当時はウールしかなかった)は1日1個、3泊4日なら4個持ちなさい。濡れたら、下着と中間着の間に入れて少しでも乾かしなさい」と教えられました。当時は厚手(太い毛糸で編んだ)の脱脂がしていないウールの手袋がたくさん作られていました。まあ今は当時と違ってアウター(オーバーグローブ・ミトン)の撥水・防水性がある程度しっかりしていますからそこまでの手袋は必要ないかもしれません。凍傷になる原因も、寒気、濡ればかりではなく、血液循環も影響しています。現在の装備(とくにアウター)からだと、こちらの起因の方が大きいのかもしれません。中高年の方々は手先、指先の末梢血管は年齢とともに細くなります。さらに寒気によって収縮しますから血流は益々悪くなります。また、アックスや、ロープを長時間握ることによっても圧迫を受け、血流を妨げます。この場合手袋の重ね着(薄手と中厚、厚手といった)も圧迫を増進させますので、厚手をシングル使用が理想でしょう。さらに環境によって、その上からオーバーミトンが正解!時には中をウールミトンがもっと正解でしょう。稜線での長時間行動には必需品です。手袋のおすすめ品を・・・オルトボックス社ベルヒテス(グラブ)、アークテック(ミトン)オーバーグローブのおすすめ品(といってもあまり無い)を・・・モンベル社システム3トリガーミトン アウターシェル&ドライテック オーバーミトンロング。
追伸: あくまで基本です。3000mの積雪期登山は絶対しない!という登山者のみなさんは、条件にあわせてフリース等の手袋でもいいでしょう。大切なのは、みなさん自信が環境と装備の判断を的確にするということですが、それはそれぞれの環境の豊富な経験から生まれてくるものです。あれもこれもではなくて、これ1つあれば大丈夫ということからスタートしましょう。そうじゃないと、べらぼうな量の装備に膨れ上がります。「たいしたところへ行くわけじゃないから」の意向のまま、「たいしたところへ行くようになったら」、『たいへんなことに』発展しがちです。
ショートクライミングには
ワンデイクライミングには、アックスやハンマーを握った時のグリップ力や、ロープワーク、細かい作業?のために、シンプルなスタイルが求められます。これには何といっても皮手袋!しかし、全然、インシュレーションされていない、シングルの皮手袋では手が死んでしまいます。登山業界からはあまり皮手袋アイテムが出ていませんが、その中でも、パタゴニア社のワークグローブなんかはおすすめです。案外、スキーメーカーのグローブは、柔らかく、暖かく使いやすいものが出ています。例えばヘストラ社のSXレザーなんかもおすすめの1双です。しかし、どうしてもビレイ等でロープの摩れが耐久性を・・・。ショートクライミングでも、いざという時のために、厚手ウール手袋・ミトンは携帯してってくださいね。
アルパインクライミングには、スペアが日数や、環境によって増すことになるのでしょうね!

2006年12月10日(日)
ウェアーの体感 その9 重ね着素材(静電気)
お客さんから、「化繊の下着はかゆくなる」という声が・・・、化繊と言われただけで、具体例が出たわけではありません。でも、僕も経験ありです。実際にフィールドへ出て行動している時にはありませんが、宿泊先の部屋暖房などが強いときや、自宅でも床暖房などで、フリースのパンツをはいていると足だけがかゆくなったり、肌の乾燥状態が続くと起こりやすくなります。このような生活環境では、むしろ綿やウールのような天然素材の方がいいように思います。かゆみと静電気の関係はどうですかね?静電気はものが触れたり、摩擦したりすると発生します。冬は服を重ねて着ますから、服同士の摩擦で、余計に静電気が起きやすい季節といえます。服にたまる電子には、素材によってプラスとマイナス2通りあるそうです。フリースなどのポリエステル素材には、マイナスの電気(電子)がたまり、ウールやナイロン素材にはプラスの電気がたまるそうです。プラスとマイナスが合わさって電気は「バチバチ」といった具合です。実験してみると「なるほど!」です。 ウール素材とポリエステル素材との組み合わせは静電気発生レイヤードですね。といっても肌に静電気が発生するわけではないので、かゆさとは関係ないか?ポリエステル系の下着にはポリエステル系の中間着を。ウールの下着には、ウールの中間着をというように同電子をもった素材同士の組み合わせの方が静電気は少なくなりそうです。

2006年11月5日(日)
ウェアーの体感 その8 外着Y (ソフトシェルパンツ)
昨年、僕のフィールドウェアーに仲間がひとつ加わりました。ジャケットで最近話題のソフトシェルのパンツで、ホグロフス シャーク・フィンパンツです。ポリエステルのベース素材にゴアウィンドストッパーというバリアー(素材表にはポリアミドと表示されています)を使い、裏地が起毛処理されていて、ハードシェルのパンツと比べると若干保温性に富んでいます。パウダースカート付きのこのパンツは登山(クライミングも含めた)よりバックカントリー向きと言えるでしょう。おっと、スノーシューハイクにはもっともってこいですね。そこで、まだあまり普及していないソフトシェルパンツ、昨年の僕の体感を伝えてみます。まだ丸一日風雪環境で履いていないので、どれだけこのソフトシェルの撥水・防水性があるのかわかりませんが、−13℃晴れの気温でパンツの中に、フェニックス筋肉サポートタイツ4DM+ホグロフスのショートジョンで快適、−7℃曇りでは、中に、フェニックス筋肉サポートタイツ4DT(保温タイプ)だけで薄手の中間着ははかずにOKでした。いずれも風速は5m/S未満です。保温タイプのタイツはストレッチ性が低いので、この上に中間着的なパンツを重ねると暖かさはたっぷりでしょうが、動きづらさの方が上回ってしまいます。身長171cm、61kgの僕は、同じ素材で女性用として発売しているQパンツの38というサイズの方がベストマッチでしたが、若い連中から「それかっこ悪いですよ。もっとブカっとしてないと!」だと???。老いては子に〜、ということでメンズのSサイズを選択しています。デカイSサイズ!「ショート丈を作れよ!」って毎年訴えているのですが、輸入ブランドは・・・。
追伸: 実は、雨の中、4時間行動(滑走)してみましたが、撥水・防水はお世辞にもいい評価は下せません。ただ雪でなく雨ですからね!仕方ないと言えばそれまでですが、防水バリアーを使ったハードシェルのパタゴニア・シックスシューターパンツやプリモパンツは雨の日も全然濡れずじまい。やはり「トラの子はトラ」です。雨以外の環境ではハードシェルより快適なのですがねえ。

2006年11月5日(日)
ウェアーの体感 その7 外着X(補足 パックライト)
外着の分類の中ではハードシェルの仲間で、ゴアテックスパックライトを使ったジャケットがあります(その6外着W補足でおすすめしたジャケットです)。ハードシェルのなかでは最も軽量で平均重量は350gくらいですかね?ゴアテックスのフィルム処理は2レイヤー(2層構造)で裏地処理は基本的にされていません。全天候型とアピールもされているメーカーもあるようですが、環境と中着を選ぶと思います。今まで積雪期の山の中で、一番効果的なレイヤードだと思ったのは、ソフトシェルでは降雪の対応ができない状況で、ソフトシェルの上に防水、さらにプラスαの防風が必要な環境です。なにしろジャケットが軽いですから動きを妨げないし、着る必要のないときの携帯がコンパクトなのがいいです。積雪期の短期登山、登攀の悪条件にソフトシェル(特にフリース系ウィンドストッパー)と組み合わせると全天候型となるジャケットです。ただ、耐久性が3レイヤーのシェルと比較すると落ちるのでその点の理解が必要でしょう。僕は、ピークパフォーマンスのパックライトジャケットを長い距離のウォーキングの行動用にオールシーズン全天候型として快適使用中です。むしろ、登山やバックカントリーの使用頻度より多くなりました。昔人間だからどうしても山に入るとき迷いながらも最終的には3レイヤーのハードシェルを手にしてしまうんです。
PS.パックライトのパンツは要注意!耐久性がほんとに弱いので、僕は1日でちょっとひっかけたところが芋ズル式に。ひっかけた僕が悪いんですけどね・・・・。

2006年11月5日(日)
ウェアーの体感 その6 外着W(補足)
ゴアテックス・レインウェアーも外着(ハードシェル)の一種です。レインウェアーの表面素材はナイロンが一般的です。ナイロン繊維は糸の太さを表す単位で、デニールを使っています。1デニール=9000mの長さで重量が1gのナイロン糸。という意味です。最近では、軽量をキーワードにどのメーカーも薄手のナイロン生地を使った商品が出てきています。その代表が15d(デニール)。15デニールは9000m=15gのナイロン糸を使っていますよ。という表示です。現在、市販のレインウェアーの大半のベース生地ナイロンは、30デニールで9000m=30gの糸を使ったものです(ベースになっているナイロンの厚さ(重さ)は薄ければ薄いほど、透湿性が高く、耐久性は低くなります)。レインウェアーも、冬の首都圏付近の低山なら、中間着を工夫すれば、冬の立派なハードシェルでが、15デニールのナイロン糸を使ったレインウェアーはたとえ首都圏の低山でも、冬の冷たい風雪には心細いので、無雪期の雨具として割り切って使い分けると、総合的な耐久性、快適性が高くなると思います。最近流行りのソフトシェルとの併用なら、超軽量のGORE・TEXパックライトのジャケット(ホグロフス・LIMジャケット)も起動力に優れています。高価なハードシェルばかりではなく、レインウェアーでも環境によっては冬山でアウター(外着)として活用できることに着眼点をおいてもいいでしょう。

2006年11月5日(日)
ウェアーの体感 その5 外着V(ハードシェル)
ソフトシェルに対して、ハードシェルという外着の基本的な製作上のタクティクスは、「全天候対応」で、その主は冷たい風雪から中着を守る「防水」と「保温」です。もちろん結露を防ぐ「透湿性」もそのひとつです。標高2500m以上の高山や、低山でも緯度の高い豪雪・寒冷地帯の登山には、欠かせない基本外着です。現在はナイロン素材にゴアテックス(最近はXCR、透湿性20%アップ)をバリアーとしてラミネート(張り付け)しているものがほとんどでで、ゴアテックスを使っているものには2レイヤー(ナイロン生地にゴアのフィルムをラミネートしてフィルム保護にメッシュ等を縫製によって裏地を付けている2枚製法)、3レイヤー(ナイロン生地にゴアのフィルムとフィルム保護の裏地を一体的にラミネートしている3枚製法)の2タイプがありますが、防水レベルはほぼ同等(表のナイロンの生地番手や撥水加工によって多少異なります)ではないでしょうか。透湿性、耐久性では3レイヤーの方が勝っているように感じます(生地、フィルム、裏地が一体製法のためか)。長期登山のように携帯も配慮しなければいけない場合は2レイヤーはかさばる(後述するパックライトは別として)ので避けたいかなあ。でも気心地は2レイヤーのほうが柔らかいので、スキーや、短期のバックカントリーには向いているかも・・・。僕はスキーフィールドでは降雪が多い時は3レイヤーを、それ以外は2レイヤーを、状況に合わせて使い分けをしています。そのほうが1着のジャケットの使用期間的に耐久性が高いこともあって。登山では2レイヤーは使わず3レイヤーです。いろいろな情報が飛び交う業界ですが、全天候対応型のフィールドウェアーをお持ちでなく、環境に入る機会があるなら、まず、このハードシェルから選びましょう。「間違いない!」
おすすめ人気アイテムはホグロフス、ヘリウムジャケットアルゴンパンツ。パタゴニア・ストレッチエレメントジャケット&パンツなどです。が、価格的にも高価なので、モンベル・フレネイパーカーストリームジャケットデナリジャケットは機能的コストパフォーマンスは高くておすすめです。パンツの裾丈がレギュラーサイズが長めで気になる方々にも、モンベル・アルパインパンツには各サイズショート丈を発売していますのでおすすめです。

2006年11月5日(日)
ウェアーの体感 その4 外着U(ソフトシェル)
ソフトシェルという外着の基本的な製作上のタクティクスは、「保温・防風・撥水」で、「防水」は考えていないため、天候の安定性が読めない長期や、短期でも1日中降風雪の中を継続するフィールドワークには決して向いているとは言えません。しかし、好天時や、降雪は微量で風だけがある条件のフィールドワークにはシンプルで着やすいウェアーです。「防風」には、ゴアウィンドストッパーを代表的に、さまざまなフィルムを表生地のポリエステル系素材にラミネート(張り付け)たり、コーティングを施したりしています(これは防水バリアーではありません)。「保温」には表面にマイクロフリースを使ったり、裏地に起毛処理をしたりしています。このようなソフトシェルのレイヤード(重ね着)は、厚手の中間着ではなく、薄手の中間着あるいは、下着の上にソフトシェルが理想です。下着は環境によって異なりますので、これというピンポイントはありませんが、僕の場合は、メリノウールの薄手、中厚を使い分けています。特にジップアップ(襟付き)がいいと思います。一般的にミッドレイヤー(中間着)とされている厚みのものだと、ソフトシェルの裏地の起毛と干渉して動きづらいレイヤードとなります。いくら短期、短時間行動といっても降雪の対処のために、レインウェアーはお忘れなく。

ウェアーの体感 その3 外着T
高山(標高2500m以上)、緯度が北寄りの豪雪地帯の積雪期登山での風雪という悪条件はちょっと後回しにして、ここでは、冬の都心部付近の低山や、スノーシューハイクといった環境や行為に適した外着についての体感を・・・。最近はソフトシェルという名称でジャケットが発売されています。このソフトシェルとやら、中間着の種類とまではいいませんが、多種になりつつあります。この環境では、裏地に厚手の起毛処理して保温性を重要視しているようなソフトシェルアイテムは必要ないと思います。僕はこの環境ではほぼ、ジャケットと2枚レイヤード(重ね着)です。肌に一番近いところには、一般的なクルー(丸首)下着は着用せず、中厚(メーカーによって若干異なりますが)程度のジップアップ(襟が付いている)を着ています。2枚重ねなので、繊維と繊維の抵抗もなく上半身は軽やかに動きますし、やや汗かきの人はこれらのジャケットにベンチレーション機能が付いたものを着れば、蒸れることもさほどありません。蒸れるといってもこの時期ですからねえ・・・。この手のジャケットで行動時に降雪になった場合は、環境的にも、行動時間的にもレインウエアーで十分です。僕の場合は現地に行って予測していた気温より大きなズレ(気温が低過ぎた)が生じた時のために、ウールの下着(丸首)もパックに詰めて行きます。かさも重さもたかがしれてますが、効果は絶大!これだけでは、ジャケットのイメージがわきませんね。僕のおすすめジャケットを、ノースフェース社・V3ジャケット。モンベル社・クリマブロックロッシュジャケットマウンテントレーナージャケットといったところでしょうか。

2006年11月4日(土)
ウェアーの体感 その2 中間着
「中間着」っておかしな表現ですね。だって、外着を着ること前提でじゃないと、中間になりませんものね。変な屁理屈を言ってしまいましたが、一般的にはそれを前提としているウェアーを総称して「中間着」と呼びます。条件が整って穏やかな冬日や、登山環境の中でもアプローチに該当するようなところでは、中間着だけで行動することが可能ですから、結果的に外着になってしまいます。この中間着、素材!繊維の厚さ!色!形!と多種です。形的には、ジップアップと称せられている、ファスナーが半分まで付いていて、被って着るニットタイプ。しっかりとした襟とボタンが付いて、羽織って着るシャツカラーの2タイプ。素材的には下着同様、ウール、ポリエステルの2素材といっていいでしょう。素材の厚み、カラーは、書けませんので、お店で見てみて!ということに・・。選択もまったく自由といったイメージで、僕達、店の人間は、みなさんにあれもこれもと使い分けて楽しんでもらいたい。といったところが本音です。ワンポイント的には、中間着である以上、重ね着が前提なので動きを考えた場合、外着と干渉しないような表面素材(一般的にフリースと呼ばれているような、起毛している表面は干渉して動きにくくなる)であること、ストレッチ性をもっていることがポイントです。年輩のお客様に人気の冬向きシャツカラーは、表面が起毛していますし、ストレッチ性が少ないので、重ね着を前提とする中間着としては、動きにくさが出るかもしれません。また、外着ばかりではなく、下着との重ね着もされていますので、動くためのストレッチ性は最も大切な要素でしょう。下着と外着の真ん中に挟まれてたいへんな働きをしてる「中間着」さん達です。僕は、下着を着ずに、直接中間着を着ることもあります。この場合の素材はウールがおすすめ、ポリエステル系の中間着は起毛されているものが多く、汗ばんだ時に吸湿せず、体表面に水滴が溜まり、溜まった水滴が冷やされて体温低下を促進することも・・。
中間着 パンツ(タイツ?)
パンツも外着を履くことを前提に伝えたいと思います。最近の登山用のパンツは一般的にスラックス系が多く販売されています。そのスラックス、どちらかというと吸湿・ストレッチ性で「動き易く、ベタつきません」と宣伝していますが、裁断は太め、履いて楽!系です。繊維が肌に近く触れ合っているから、吸湿するわけですし、ストレッチ性をもっているから、身体にフィットしていても動き易くしてるわけで、意図と現実の格差が・・、というわけです。まあ、たまに雨具をはく程度のことでしたら、特に不快や、動きにくさは関係なしといったところでしょうが、あまりにも身体と繊維が遠ざかっているスラックスに外着を履けば、ガサつきや、動きにくさは拡大していくと思います(大き目のスラックスを履いた上で履く外着を選択しなければなりませんから、また大き目になり、外着が外でもガサついて・・・)。このような重ね着で、冬の外着を長くはかないといけない環境行動では、「くそ〜!」と苛立ちさまで・・・。そこで、おすすめは、保温性もまあまあで、動き易くて、外着とも干渉しにくい形・素材は、ストレッチタイツ。現在はポーラテック社というフリースの元祖素材メーカーから、「パワーストレッチ」という名称で各メーカーから発売されています。弊害?はひとつ、あまりにボディフィットで作られているため、ちょっとその姿で公共交通機関の場に出るのは・・・。といったところでしょうか。ホグロフス・バギータイツエクステンダーパンツ、パタゴニア・アクスウールタイツR1パンツ、スマートウール・シナジーテーパーレッグパンツなどなどがおすすめです!コストパフォーマンスとしてはモンベル社のトレールアクションタイツもおすすめです。
風と積雪
2006年1月8日で、積雪による災害死亡者の方が63名になりました。僕たちの仕事は冬が寒く、雪は多くないと成り立っていかない気象商売ですが、雪国の生活レベルを脅かしているニュースが毎日ですと喜んでもいられません。現地へ行くことも出来ず、何もできませんが、ご冥福をお祈りいたします。日本列島は7日も日本海側を強い寒気が覆い、北陸から山陰地方にかけて断続的に雪が降っているようです。気象庁によると、7日午後から8日早朝にかけて、上空約5000メートルの温度が氷点下40度の寒気が北日本に、氷点下30〜36度の寒気が東日本と西日本に流れ込むため、全国的に大雪となる恐れがあるそうです。雲を構成している小さな水滴を雲粒といいますが、この粒は非常に小さいため−30℃程度までは凍らずに液体のままで存在できるそうですが、それ以下になれば氷り、結晶となって雲の中から落下して、大量な雪として地上に積もります。上空−30℃以下は積雪量要注意と言えるでしょう。年末から毎週フィールドに通っている僕の体感は、降雪もさりとて、風が強いのも印象のひとつです。スキー場のゴンドラは運転見合わせ、リフトは減速運転なんていうのは軒並みでした。同じ寒気でも風のない状況で降りてくる雪はきれいな六花の木の枝状の結晶が見られ、積もっても息を吹きかければ飛んでしまうような、まさにパウダーですが、強い風で飛んでくる雪(吹雪)の結晶は不規則な破片を含んで、初めから密に積もるので風のないときに積もった雪とは比べ物にならないほど硬く重く、吹き溜まりやすいところに大量に積もります。このように休みなく積もった質量の重い雪が、除雪に時間がかかったり、建物に弊害を与えています。雪崩(一番多いケースは表層)のメカニズムに弱層という「層」があります。風によって緻密に結合しあった雪は安定して弱層を形成しにくいのですが、今年のように、休みなく吹雪いた豪雪時には、積雪層が安定する時間より早く上載積雪が増加し、弱層はなくても、時間3〜5cm積雪が24時間も続けば斜面傾斜30度を越えるような急斜面は、重力のバランスで「ド〜ン」てなことにも・・・。スキーにまつわる雑誌には、パウダースノーを楽しむバックカントリーの記事(ホームページも同じかな?)が我々の心を刺激的にさせます。雪、風に伴う積雪量を十分観察しながら、斜面を疑ってかかる心を忘れないようにしましょう。